今から一時間ほど前、目の前で若い男性と警察官(女性)の捕り物があった。
まるでテレビのドラマを観ているような錯覚を覚えつつも、「たった一人で必死で追いかけている警察官を援護しなければ!」・・という正義感と、「犯人に逆恨みされたらどうしよう?!だって今犯人が逃げ込んだのは、我が家のガレージだもの!」・・・という恐怖心とで、ものすごく気が動転してしまった。
車で買い物からの帰り道、家のすぐ近くの交差点で男の人が全力疾走しているのが見えた。
あれ?何しているのかな?と思った瞬間、その後を必死で追いかける一人の婦人警官の姿・・・
えっ?事件?ってことは今目の前を走り抜けた男の人は犯人??
大変だ!どうしたらいいんだろう?!何とかしなきゃ!!
などとパニックっているうちに、犯人が我が家の方向へ逃走して行くではないか!
きゃー!どうしよう!困った!とにかく先回りしなきゃ!!と車を発進。
ぐるっと家の前の広場を回って我が家の前まで来たら、よりによって犯人がうちの駐車スペースに飛び込んだ。
「とりあえず警官が追いつくまでここから逃がしてはいけない!」と思い、車のライトをアップにして犯人を照らし出した。
すると犯人はうちの隣に駐車している車の陰にしゃがみ込んで隠れた。
そこへ先ほどの警官がたどり着いた。当然犯人を発見しているだろうと思って見ていると、犯人はずっと息を殺して車の陰に隠れているし、警官は気づかず辺りを探している。
「え〜っ!?そこにいるじゃない!早く何とかして!家の中に入ったらどうしよう!」家の中ではフェリックスが騒ぎに気が付いて吠えている。
警官がさらに先の方へ移動しようとするので、車の窓を開けて叫んだ。
「そこ、そこ、そこにいますっ!車の下!!」
警官が腹ばいになって車の下に潜んでいる犯人を確認して、私に向かって何か叫んでいる。
「ここの道路の名前は何?」
情けないことにあまりに動転している私はとっさに自分の住所が出てこなかった!
必死に住所を思い出そうとしているのに、頭に浮ぶのはなぜか前回のケンブリッジ生活で住んでいたHighfield Avenue!
違う違う!それはこの近くだけど、ここの住所じゃない!!どうしよう!え〜っと!え〜っと!
と泣きそうになりながら考えていると、警官は無線機で現状を報告をしながら犯人に話しかけている。
隠れていた犯人が、ついに諦めたのか立ち上がって車の前に出てきた。
警官は万が一犯人がピストルや凶器を持っているといけないので警戒していたが、おとなしく警官に付き添われてもと来た交差点の方へ歩いて行った。
はぁ〜怖かった!
家の中は大丈夫かな?フェリは怖がっていないかな?と思い家の中に入ると、家の中もフェリックスも異常なし。
やれやれ!
でもほんの30秒でも私の車が交差点にさしかかるのが遅かったら、どうなっていなんだろう?
犯人はライトに照らし出されることなく我が家か、あるいは隣の家に逃げ込んで警官が通り過ぎるまで隠れていたのではないかな?・・・と思うと、ますます恐ろしくなったが、一方で偶然の一致、Coincidentというものの不思議を感じた。
まるですべてがドラマのように、見えない誰かが「ヨーイ、スタート!」とかちんこを鳴らしてアクションしていたかのような一瞬だったから・・・
追記
「犯人」、と書いたけれど、正式には容疑者ね。でも、何も悪くないならあんなに必死で逃げる必要ないけれど。
一体何の事件だったのだろう?あとで調べてみよう。
あの男性も心の片隅に存在する良心の声に早く気づきますように。・・・