-----大好きでした。
すぐに黒くすすけてしまう東京とは違い、真っ白くふわふわな粉雪に一面覆われ「銀世界」という言葉が良く似合う札幌の街並み。
嬉しくて楽しくて、たとえ毎朝毎晩雪掻きが待っていようと、融雪にタイヤを取られて運転していたワゴンが1回転しようと、猛吹雪に遭い吹き溜まりにドカンと突っ込もうと、全ての経験がまるでまっさらな雪原に初めて足跡を付ける子供の様に目新しくて、毎日ワクワクしていたものでした。
-----しかしそれも最初の一冬かぎり…。
二年目にはすでに心身ともに疲れきっていました。
毎日降り続く雪を恨めし気に見上げながら、出るのは溜息ばかり。
「体力の限界」
千代の富士の引退フレーズが頭をぐるぐる。。。
でも、いくつになってもそんな雪がだ〜い好きな物好きがここにいます…。
海-----別名黒うさぎ
いったい何がそんなに楽しいんでしょう。
せっかくのお友達の匂いも雪に覆われてしまって、かえってつまらなそうな気がするんだけどなぁ。
1月24日
前日の降雪で、どこもかしこも雪の山。
歩道は場所によっては人一人がやっと通れるくらいです。
が、そんな時ほどテンションアップする海。
尻尾を呑気にゆすりながら、どんどん前を行きます。
前方の視界が悪いだけに、こちらはいつも以上に気を使ってるというのにさ…。
「海、待て」
リードを引くと立ち止まり、憮然とした表情で振り返ってフッと溜息を付くお嬢。
「これだからロマンを捨てた奴って嫌いよ」
まるでそう言われているよう…。
何と言おうと、街中では仕方がないのだよっ。
諦めたまえ、明智君。
私の足元について歩く間、つまんないモード全開だったお嬢様。
どう見ても目が怒ってますね…。
この小一時間後、道無き河川敷で思う存分溜まったうっぷんを晴らす黒うさぎなのでありました。
ああ、人間で言えば私と同い年くらいのくせに…。
やっぱり生活に疲れてロマンを捨てたオバチャンがいけないの?
ちょっと羨ましいわ、さぶりー…。
「ところで明日から少しの間私はいないけど、リーダーの言う事を良く聞いて良い子でいてね。」
さぶりー、入院前日の散歩話です-----