◆札幌3R・新馬戦(2日、札幌競馬場、ダート1700メートル、良) メイクデビュー札幌で将来が楽しみな2頭が順当に勝ち星を挙げた。3R(ダート1700メートル)に登場したベビーネイル(横山典)は、ほとんど手綱を持ったままで5馬身差の圧勝。1・9倍の断然の1番人気に応えた。続く、4R(芝1800メートル)は、オークス馬カワカミプリンセスの全弟メイショウホンマル(池添)が、直線でしぶとく抜け出して初陣を飾った。今後はともに、札幌2歳S(9月5日、札幌)を目標に調整される。
首元にピタリと当てられた手が全く動くことなく4コーナーを回って来る様子は、馬なり調教を見ているかのようだった。道中は2番手につけたベビーネイル。直線に入ると、逃げるマリンバラッドを一気に捕らえにかかった。抜け出す瞬間だけ軽く気合をつけられたが、その後は馬なり。それでも最後は5馬身差をつけ、初陣を飾った。
全く危なげのない勝利に、横山典は「本当に従順。初めてでも上手に走ってたよ」。淡々とした口調は「勝って当然」とでも言いたげだ。藤沢和調教師も「強い勝ちっぷりだったね」と固い握手を交わした。
藤沢師、山本英俊オーナーの“カジノドライヴ・コンビ”が、「アメリカの重賞で活躍できる馬を」と、08年のセレクトセール1歳セールで2000万円で落札。それだけにカジノのように「デビュー勝ち→即海外」の道を歩むかと思われたが、次走は、札幌2歳S。そこには、山本オーナーの血統に対する強い思いがあった。
父コロナドズクエストは、06年の種付けシーズン開始直後に急死。同馬は07年に誕生した唯一の産駒で、文字通りラストクロップとなる。また、産駒から後継種牡馬も出ていないことから、“後継ぎ”の可能性を残したい考えだ。「芝の適性があることが分かれば、3歳はクラシックを目指して、血を残すチャンスを作ることも考えたい。古馬になってから行っても、アメリカには大きなレースがたくさんあるから」。デビュー戦にダートを選んだのは適性を見るためだったが、走りには満足したという。
カジノのように大差勝ちまではいかなかったが、スケールの大きさは先輩譲り。次はどんなレースを見せてくれるのか、楽しみは広がるばかりだ。
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