犬の病気、猫の病気などを詳しく解説しています。

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Sep 15, 2006
犬パルボウイルス感染症

犬パルボウイルス感染症

 

パルボ(極小)と付いているように大変小さなウイルスです。しかし自然環境化で長期間生存でき、強い感染力を持っています。パルボウイルスは犬だけでなく猫や他の哺乳類にも感染させるいろいろな型の仲間が存在します。

感染した犬の排泄物(便や嘔吐物など)、食器などに接触することで感染します。パルボウイルスは細胞分裂の盛んな場所を好むため特に子犬の場合、心筋や腸がその感染場所となります。ウイルスはリンパ系、血流から骨髄、リンパ節、胸腺、腸管上皮に達します。どこも細胞分裂の盛んな場所です。

【症 状】
主に子犬がかかる病気で、感染する場所で【心筋型】、【腸炎型】があります。
【心筋型】
その症状は突然にやってきます。 急に泣き叫んだりはいたりすることもありますがほとんどはいままで元気だった子犬(母犬から免疫をもらっていない子犬が多い)が突然死してしまいます。悪くなってから何もできない間に死ぬことが多いのが特徴です。
【腸炎型】
激しい嘔吐や下痢が始まります。便の色は白っぽい色からや粘液状の便になって行きます。重くなるとトマト色の水溶性の下痢をするようになります。下痢が続くと脱水症状や敗血症を起こし衰弱していきます。治療が遅れると死ぬこともあります。
 
【治 療】

感染してすぐに手当てをすることが重要です。このウイルスには一般の消毒液は効きません。ワクチン接種接種が有効です。

ワクチン接種で未然に予防するしかありません。

 

犬パルボウイルス感染症の?

ウイルスの排泄はいつまで?

犬パルボウイルス感染症の問題のひとつにウイルスがいつまで排泄されるかということです。排泄されたウイルスを検出することで犬パルボウイルスが感染の原因と考えるのは当然ですが、ウイルスが検出された犬から他の犬への接触感染のほうが重大な問題です。

 

自然環境化で長期間感染能力を持ち、一般的な消毒薬に対して抵抗性を持つことから、同居犬への感染だけでなく、感染した犬が行動する範囲(散歩など)すべてが汚染されている可能性が高いのです。それよりも私たちに一番重要なのは動物病院内の汚染です。したがって、犬パルボウイルスの感染が疑われる場合には、必ずCPV抗原検出キットによるウイルス検出を行う必要がります。


一般的に症状が回復すると血中抗体価の上昇が認められ、ウイルスの排泄は無いとされています。しかし、まれに症状が回復しても1ヶ月以上犬パルボウイルスを排泄する犬がいます。

 

感染症の治療にステロイド? 

 

犬パルボウイルス感染症での死因は、急性の場合は激しい下痢や嘔吐による脱水、代謝不全である。しかし、回復期に突然死亡するの例や一般状態の改善が見られない例では、エンドトキシンショックによる多臓器不全、続発するDICが原因となる。

エンドトキシンショックは腸管粘膜の破壊により腸内細菌の全身感染が原因となる。実際に腸内細菌の全身感染による気管支炎や肺炎を併発する症例も多い。したがって、一般的には二次感染を防止するためスペクトルの広いアンピシリン等が予防的に投与されるが、十分に効果が認められないケースも多い。


このようなケースでは、抗炎症剤としてコルチコステロイドの使用が有効とされている。犬パルボウイルス感染症の重症例では二次感染のためマクロファージの過剰な活性化により腫瘍壊死因子(TNF)や活性酸素の過度な産生によって組織の破壊が起こるため、続発するエンドトキシンショックをコルチコステロイドで可能な限り抑えるという考え方は成書にも記載されている。


犬パルボウイルス感染症の治療では、初期もしくは軽度の場合インターフェロン療法が定着し高い効果を挙げているが、末期での有効率がやや低いことも事実でありステロイド療法の併用でより高い治療効果を期待したい。

また、有効な治療法の選択を行うためにも炎症の程度を把握する必要があると考えられることから、ぜひ血清中の炎症タンパク質であるC反応性タンパク(CRP)のテストキットでの検査をお勧めしたい。