おじちゃんの実家のワンコ様は、超わがままなお坊っちゃま。 うちで預かった日のことは一生忘れない。
車に乗せるのにケージに入れない。 持参した美味しいごはんも全く食べない。 サークルに入れるとキチガイのようにひたすら鳴き叫ぶ。 我が家のすべてが気に入らないらしく、吠える、唸る、咬む。 そのくせミルキクが挨拶しようと近付くと、部屋の隅で固まりプルプル震える。 ミルキクをサークルに入れると、偉そうに吠えて唸って壁にマーキングまでしてくれる。
今までいろんな犬に出会ってきたが、3本の指に入る手強い相手だ。 なだめてもすかしても見事なまでに憎たらしい。
真夜中、あまりの叫び声に参ってしまい、強行手段に出た。 バスタオルに包み、なんとかお互い怪我せずに捕獲。 クレートに入れ、その上に毛布を掛けて押入れに閉じこめた。 まるで虐待だとは思ったけれど、止まない無駄吠えは近所迷惑になってしまう。 いくら預かっている犬とはいえ、深夜の騒音が許される理由にはならない。 まさに一対一の死闘だった。
彼の驚くべき日常のお犬様ぶりを知ったのは、無事に帰した後だった。 あれから、ずっと思ってた。
たった、2日間のことならば、ミルキクとは別室に置いて、彼のワガママ(=普段通りの生活)にも応えてあげればよかったのかもしれない。 自分の思い通りに動かない人間に戸惑い、苦手な犬達がいる空間でどんなに不安で辛い時間を過ごしただろう。 私は私のやり方で抑えつけ、彼は彼なりの言い分を主張した。 100家族あれば、100通りの犬との暮らし方があるわけで、決して我が家の飼い方が正しいとは限らない。 いくら急な預かりで時間と気持ちに余裕が無かったとはいえ、あまりにも情けない対応だったと深く反省している。 本当に心から謝りたい。
ただ、、私はミルキクを守りたかった、、、。
先週、彼が亡くなったと聞いた。 不思議と、愛くるしい姿ばかりが浮かんでしまう。 賢くて美しいパピヨンだった。
いつかはミルキクともお別れの日がやって来る。 「ごめんね」ではなく「ありがとう」で送り出せるよう日々大切に過ごしていきたい。
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