先日、会社に辞令が張り出されていた。どうやら僕はバイト君から来月より契約社員になるようである。
先月初め上司から、契約の手続きをしていると内定を受けるも、人より10年遅れで高校を卒業した為、本社の審査にひっかかり学歴詐称疑惑がわいたりもしたが、事なきをえたようである。
人件費削減の為か、全支店を含めて僕1人であった。口だけ番長とよく言われるが、社会では拳より口とコネである。
手鏡で女子高生のスカートの中を覗いたり、酔っ払って痴漢行為など問題を起こさなければこのまま契約である。
契約すると言ってもゴジラ松井のようにゴネたりはできるはずもなく、会社が作った契約書にサインするだけである。
しかし、唯一選べる項目がある。それは出勤時間である。僕は最も早朝出勤を選択しようと思う。
手当が付くのも魅力であるが、何より仕事時間が短くなることである。時は金なりのバイト君となり、ナッティのお留守番時間はとても長くなった。
朝、後に出るユウコの出勤の時、時々であるが遠吠えする事もあった。僕の都合でもの凄い寂しい思いをさせてしまった。
仕事から凱旋すると毎日狂喜乱舞であった。帰宅後コンビニなどほんの何十分のお出かけの後も、また狂喜乱舞であった。
さっきまで居たわけだし、そんな大げさなと思っていたが、人☆時間より早く流れる犬★時間を生きるナッティにとってはもの凄く長く感じるのであろう。
僕が早起きして出勤すれば、ユウコと時間差でナッティのお留守番の時間は5時間程度に短縮される。
愛犬のためにとか言うと、同僚にバカにされるかもであるが、僕はナッティをお留守番させる番犬として飼ったわけじゃないし、選択の余地があるのなら愛犬家なら間違いなく選ぶ道であろう。
先日、仕事中に犬★葬儀社前を通った時、偶然にも出棺を目撃した。車に手を合わせ泣き崩れる若い女性の姿に、僕は自分の事のように涙があふれそうで、胸が苦しくなった。
そこにはハリウッドの名監督でも決して作ることができない『リアル』があり、悲しみと共に飼い主さんは、ウォール街でも買う事のできないものを愛犬からもらったに違いない、そう思った。
不死身の花のように、1滴の水や1粒のフードも欲しがらず、戦場でも氷上でも死なない犬がいたならば、サヨナラは寂しくないし、手放すのもためらわないであろう。
アイボとは異なり、呼吸するそこにいる命がもの凄い価値であり、大切なんだ、そう思う。
ナッティはたしかにまだ若い。しかし、以前にも書いたが夏休みの宿題と同じで、気づけばもう8月も終わりみたく、時は流れるものである。
バイト君生活で学んだが、1分1秒すごく大切で、人より早く流れる犬の1分1秒はもっと大切である。
そんな大切な事忘れがちなダメ人間であるが、少しでも楽しい飼い主さんになり、楽しいワンダフル ライフを過ごしたい、そう思う。