土曜日、天王寺にて会社の人の送別会と言う名目の飲み会であった。もちろん酒を絶っている僕にとってはお茶会である。
シラフで参加する飲み会は実に面白く、一言一句思い出に残るのも醍醐味である。そして時の流れがゆっくりと感じ、楽しい時間が有意義に価値のある時間となった。
そして宴は終わりを告げ、目をギラつかせたエロを乗せ宗右衛門町へと向かうタクシーに便乗し戎橋へ。
分刻みのスケジュールのこの日のメインイベントは、1年半ぶりぐらいに竹馬の友であるキーンとの再会である。
少年時代は家近で暮らし、毎日のように遊んだ僕らであるが、今では堀江もんと田舎もんとなった。今では年に1度くらい会う程度である。
待ち合わせの戎橋は、連休の旅行者であふれ、記念写メをする人とホストであふれかえっていた。
背格好が僕とよく似ていて、後ろから呼び間違えられる事もしばしばだったキーンであったが、「久しぶり」と声をかけて来た1年半ぶりのキーンは体型もホリエモンとなっていた。
不動産鑑定士の試験合格後生活が変わり、贅の限りを下腹にためこんでいるのであろう。
再会してまず向かったのは、彼の友人達の飲み会である。くどいようだが僕的にはお茶会である。
連れて行かれたのは会員制の小料理屋で、集まっていた人々もプチセレブな人々であった。
システムエンジニアやプログラマー、そしてオーストラリアのラグビーチームの通訳など普段僕がからむことがまず無い人ばかりであった。
驚いたことに同級生の彼ら全員がホリエモン体型であった。このメンバーで宇宙人に捕獲されたら明らかに僕だけ別のオリに入れられそうである。
海外やゴルフなどの話に花が咲き、僕のトリオで奈良公園珍道中話では失笑が飛び交った。海外やそれぞれの業界の話など、普段あまり聞かれない話がきけ、貴重な時間となった。
次に久しぶりにゆっくり話したいとキーンに言うと、オリエンタルホテルのバーに案内された。ソファーの座り心地もよく、話もはずんだ。
毎晩夜の街にくりだし、買ったスーツがたった1ヶ月で入らなくなるほど急激太りしたらしい。仕事とキャバ嬢に追われる日々らしい。
最後に案内されたのは彼の行きつけのサウナであった。3000円とやや高いが、とてもキレイで7種類のサウナが楽しめると自慢げにキーンは語っていた。
確かにキレイで清潔感にあふれていた。が、激太りのキーンは着やせしていたのか、全裸はタムケンのようであった。
まずは普通のサウナ、しかし5分過ぎにキーンは汗だくで退場、なんとサウナはその5分のみであった。さすがはプチセレブである。
体を洗っていると隣から冷たい水がピチャ!ムカっと隣のデブのおっさんをにらみ付けるとキーンであった。あわや乱闘するとこであった。
そしてそこで驚きの光景を目の当たりにした。廊下で爆睡する人や、1人でご飯を食べる人、そしてフロントに売っていたシャツやネクタイを購入するサラリーマンである。
なつかしの牛若丸三郎太の24時間戦えますかのフレーズが浮んだ。キーンも以前事務所勤めの時は、そうだったらしい。
夜遅くまで残業し家に帰らず、3時間ぐらい仮眠してまた出社をくり返していたらしい。何だかものすごく考えさせられ、キーンはもの凄く孤独だったじゃ、と思った。
と、同時に逆に、大半定時の僕はもの凄く幸せな環境なんだ、と思った。僕も今に甘んじる事無くがんばらないと。
始発の駅は誰もおらず貸切であった。物思いにふけつつ電車に揺られた。人生は電車の時刻表のようである。
10代は6時頃、様々な電車が歓楽街、郊外、山、川など様々な行き先に行く列車があり、特急で先を急ぐもよし、普通でゆっくりもよし、乗り遅れてもすぐに次の電車がきて、わざと1本おくらせたりと行き先もチャンスも数多く訪れる。
僕らは8時過ぎ、だんだんと本数も減り、行けない場所も増えていく。少しさみしい気もするが、そういうものである。かけこみや車掌とかけひきしつつ、出世街道をさすらうとしよう。