土曜日、ナッティのお散歩から凱旋を待ちわびていたのは、親友のキーンであった。その日は5年に一度の中学校の同窓会であった。
僕は卒業後1度も参加したことが無く、今回も参加意欲は無かったが、資格に合格し高額所得者となったキーンが故郷に錦を飾るのにお供であった。
前回、前々回とキーンは親のスネをかじりつつ試験に落ち続けていただけに、肩身の狭い思いをしいられていただけに、意気込みは凄かった。の、とはま逆に、僕はわざと遅れるほど意気消沈であった。
実際この日が近づくに連れ憂うつに・・・。元地元に対する後ろめたさムンムンであった。が、お迎えまで来られたら逃げ場は無く、中学時代、先生と衝突し登校拒否した時、無理からキーンに連れられたのを思い出した。
会場はホテルなどではなく元地元の居酒屋、服装はカジュアル、結婚式の2次会さえラフな格好、相変わらずのスタイルにもちろん郷に従いジーポンにジャケットで駈けつけた。
7時集合に小一時間遅れで到着であった。が、まだ始まっておらず。ゆったりとした時間も元地元ならではである。久しぶりの元地元訛りはより下品に響いた。
17年ぶりにあう同級生は大きく変わっていた。男子達はハゲこそは見当たらなかったがビールっ腹に成長しており、女子達もふくよかに成長していた。
当時見下ろされていた女子達を見下ろす気分は上々であった。最初こそ転校生状態であったが酒と時間が進むにつれ、立ち代り入れ替わりトーキングも進んだ。
第二次ベビーブーム世代の僕らは学年400人弱、この日も80人が集まった。もちろん話した事がない人もいたが、この日とばかりなれなれしく話しかけられた。僕はフォーエバーヤングと称賛され、同窓会なのに年齢を聞かれたりも。
そして宴も酣になるにつれ、当時の恋の話しに。フッたフラれたなどどうでもいい話に盛り上がり、実は好きでしたなど17年時間差の告白も。。。当時と変わらぬモテっぷりであった。
結局ヤサ男のモテ自慢かと思われるかもであるが、当時の記憶として兄からの暴力や借金の取り立て、そして物理的に電気ガスが止められたプレハブの部屋で震える夜の方が鮮明である。
学園生活を満喫などサラサラ、二度とは戻りたくない青春である。と、思うと改めて今の幸せがデカく感じた。まあ書き換え自在のメモリーより、近未来計画をアレコレするとしよう。
ナッティと違い写真嫌いの僕は記念撮影を全拒否、唯一子供に初恋の人と紹介された3児母とのみパチり、将来僕のジュニアと遊ぶ妄想を語られた。
この歳になると色々言われがちであるが、震える夜に描いた夢に僕のジュニアの姿は無く、実際僕は、嫁1人、犬1匹幸せにするのでいっぱいいっぱいの器のちっせぇ男である。
これからもトリオで幸せにそこそこ贅沢に暮らせるよう、何だかんだしていくとしよう。
結局、居酒屋4時間、カラオケ4時間の8時間耐久同窓会であった。ダラダラした所も元地元スタイルである。そんな中仕事をする姿も・・・。歳をとっても人生は大変である。
ぶっちゃけたくさんの人と話し過ぎ、誰が何?既婚未婚そして職業など忘れてしまったが、久しぶりに同年代と語り、チヤホヤされ何よりであった。次はパスして10年後、初恋の甘い夢を壊さぬよう、腹筋を割っていくとしよう。