200X年最後のクリスマスイブのしばし前、えらいさんに誘われes小山の王国で行われたハーフマラソン大会に参加した。
ノリきっかけで参加を宣言し、マラソンシューズを買ってから3ヶ月、結局ナッティのお散歩靴となり、練習もせずに当日を迎えた。。。
20.195km、見知らぬ町での大冒険であった。35歳と言えどまだまだ若いと気持ちをテンションハイ、寝不足もあってか亀田のようにメンタル的には楽勝ムードであった。
森脇健児のスポーツバカっぽい挨拶後、すぐにスタートラインへ。。。タイム別に整列だが、えらいさん達は前の方へ、僕は初なんで最後尾、スタートラインが遠くにうかがえるポジションであった。
周囲はガチャピンや正義のヒーローやサンタさんがゾロゾロ、こんな着ぐるみでも完走できんのか、と安心感に包まれた。
さらにユニクロのスウェットやリュックを背負うもの、記念撮影やギリギリまで豚汁をすするものまで。。。やたらハイテクなコスチュームなおデブちゃんが、目標1時間宣言、もちろんゴールするタイムではなく、1時間走り続ける事を宣言であった。
しばらくして銃声が聞こえ、走りだそうとしたら、「走らないでください!」と係員が静止、マラソン大会なのでは。。。約2分後ようやく「危険ですので走らず歩いて下さい!」マラソン大会なのでは。。。
5分後、ようやくスタートラインに立ち、ゆっくりと走り出した。この日は気温3℃、寒いしダラダラしてるだけだし体は冷え動きが悪かった。5キロ地点の給水地点、つい目の前の水をガブガブ、さらに体は冷え。。。
この日は時計を持っておらず、2時間半の時間制限であるが、単純に平均時速10kmで走り続ければ、気楽な気持ちで沿道の応援にもれなくリアクションの着ぐるみ集団とランニングを楽しんだ。
が、折り返しの10km地点まで300m、係員が「残り3分で閉門となります!急いで下さい!」振り返るとリタイアの人を乗せたバスが!!いかん!と思って全力疾走!しかし体は重く、膝が痛い!ニュータウンに入る坂が、練習不足の僕を足裏を刺激した。
冷やかし集団に別れを告げ、何とか時間は間に合った。しかしその途中、義足のランナーの方の姿が、、、恐らく時間に間に合わなかったであろう、しかし最後まで懸命に走る姿が目に焼きついた。
僕の勝手な思い込みであるが、足は痛くともいけるとこまで行かないと、ものすごく失礼であり、男たるものとして恥、そう思った。
そこからが本当の戦いであった。コースはニュータウンの中をアップ&ダウン、1kmが100mがこんなに長いなんて。。。心の中は、思春期の少年みたくうつりかわり、やめよう、がんばろうが秒単位で駆け廻り、家族の事、昨日の事、昔の事、食べ物や犬の事、とにかく色々な事が頭を駆け巡った。
そんな中、僕の心に響いたのは、沿道のチルドレンやマダムやお年寄り方の声援であった。町をあげてのイベントに、水やチョコレートを差し出してくれた。
もちろんどこのどいつかわからん僕を心からなんて無いであろう。しかし、その声は確実に僕を前に押してくれた。寒いのに旗振って応援、なんて素晴らしい町なんだ、そう思った。
が、残り5km、こんなにって思うぐらい体が重くなり、残り3km、何とか関門を時間内で通り過ぎ、気付けば人もパラパラ、ゴールの高校のグラウンドがチラり、しかし思ってる以上に遠くに感じた。
トラックに入ると、地元高校生が大声援、僕はやったった感に包まれ、200X年ンサイコーのどや顔でゴールインであった。2時間17分スタートしてから2時間13分の事であった。
ゴールした後、女子高生が水をくれ、タイムチップを回収、そこまではカッコつけていたが、気付けば自分で歩く事が困難なぐらい足がボーになっていた。
着替えのある教室までの坂、生まれたての小鹿ちゃんのようにヨロヨロヨロ、でも胸を張って一歩一歩ヨロヨロヨロであった。
しばし感動に酔いしれた後、えらいさんと合流、皆さん60近いのに僕よりか全然早く、今どきのダラしない男として言われるも、僕はやったった感で溢れていた。
先ほどのゴールが幻のように、早くも片付けが行われていた。過ぎ去りし過去であるが、僕の心の中で、引っ張り続けるとしよう。
余韻を味わいつつえらいさんにご同行し近くの温泉施設へ。。。歩行が困難な僕をほくそ笑んでか、牛さんのケーブルに乗せて頂き上の入口へ。。。
温泉に入りつつ、ふと思う。マラソンについて、何もない所をはしってどう?何のために走る?しんどいだけなどよくおっしゃられます。
しかし、その道中には走った者だけしかわからんどえらいもんがあり、それを知ってしまったもんからすると、一度走ってからもの言わんかい、とつい最近までの自分を含め言いたい。
とは言え人間は忘れっぽいもんで、いつの日かこの感動が薄れたら、またこの街のサンタさん達にプレゼントもらいに伺うとしよう。。。