金曜日の祝日、ユウコはOLグルメ旅で中崎町にフレンチを、僕は元同僚のO君と、地元で中華を喰らいに行った。
ユウコは前回はエントで『デューク更家』と居合わせ美ウォークトークを、今回もRMKの『RUMIKO社長』に出くわしたらしい。
僕はと言うと、もちろん地元の中華料理店に有名人は現れなかったが、O君は『サンボマスターの山ちゃん』にそっくりである。
以前からそれが言いたかったが、失礼にあたってはと…。今回『電車男』などそれとなく近いワードを言うも無反応。
おもいきって「O君あのミュージシャンに似てるよな、名前忘れたけど、ほら、アレ、言われるやろ?」と、ど忘れを装ってきいてみたが逆に、
髪型を変えた僕が、最近病的なケミの『堂珍』に似てきたと言われ、ますます言いづらくなり、結局言えなかった。
O君は80坪ぐらいの『O君御殿』で1人暮らししている、元お坊ちゃまである。色々あって元である。しかしコツコツ働き、毎年固定資産税を恐れているが 、なんとか食っていってるみたいだ。
O君のお見合い話や、0君御殿やゴッティンガム周辺の地価の下落率の縮小や、駅前再開発も始まったなどの、プチバブルへの明るい話題が続いたその後…
O君は愛犬家の大先輩で、ゴールデンレトリーバー(♀)を飼っている。なんとその犬が遺伝性の目の病気で、まだ5歳なのに死を待つ日々だそうだ。
手術すればもしかしたら治るかもだが、費用がなんと60万円かかるらしい。
犬を買ったペットショップに相談に行ったが、「補償期間が過ぎていますのでかわいそうですが…」。
しかも獣医にも言われたらしいが、「遺伝性の病気を持った犬に子供を産ませないで下さい」と店員にも言われたらしい。
おいおい!遺伝性の病気を持った犬を販売した店が、言うべき事ではないはずである。しかも補償期間なんてわずか数ヶ月である。
「子供の頃から斜めに歩くクセがあったが、気にしてなくて」。その事も言ったが、「その時に言ってくれれば」と言われたらしい。
店長か何か知らんが、上司や社長、ブリーダーとかと首脳会談を開くどころか連絡すらせず、その場で即答だったようだ。
「目が見えなくなり、目がくぼんで顔も変形してきて目をあわすのもツラい…」「今は好きな事をやらして、出来るだけ一緒にいて甘やかしている…」
悲しそうな顔で僕に言った。それ以外にももっと言いたい事があっただろうが、あまりにもかわいそうで、それ以上きけなかった。
店を出て1人になった帰り道、色々思い出した。O君は仕事中サボって散歩に行ったり、鬼上司の誘いを断ってまでも、エサをあげに先に帰ったこともあった。
愛犬家の仲間として僕に何が出来るであろう。僕は獣医じゃないし、60万の大金も貸せない。結局犬を助ける事は、僕にはできないのである。
せめてもの抵抗として、そのペットショップでは、今後一切何も買わず、この話を1人でも多くの人に語る事ぐらいである。
そのペットショップは大阪、京都に6店舗ほどあるチェーン店で、ペット博にも出店していて、大繁盛していた。
彼の立場に立たずとも、通院や飼育の費用などの物的損害、ペットロスや思い出などの精神的損害を思えばマジで腹が立つ。
結局、僕が言いたい事は、そのペットショップの名前である。