ど平日の休日、僕はいつもの予約の取れない美容院に出かけた。僕は通い始めた当初から寡黙な人を演じていたが、プリケツ店長の話術にハマり今ではカリスマ美容師と常連客の間柄である。
今回も入店のち着席後、店長の無駄口から始まる。つかみの会話は僕のデニムについてであったが、ぶっちゃけ興味薄で内容はあまり憶えておらず。
今回僕は目指す髪型があり、それを伝える為店長の無駄口が途切れるのを心待ちにしていた。今回僕が目指す髪型とは『mihimaru GT』の男の方である。
前々号ぐらいの関一の表紙を見た時、これだ!と思い迎えた今回であるが、さすがに関一を持って行く勇気はなく、お店に置いてるであろうと手ぶらでのご来店であった。
思えばど☆貧乏であった僕の少年時代、散髪の機会にすら恵まれず、日本一のひったくりの街の激安理髪店で、年に2.3回散髪する程度であった。
当時は今日と大きく異なり、客側に髪形の選択の余地などほとんどなく、「短くして下さい」と言うぐらいで、育ったマッシュルームカットをバリカンで容赦なく刈り込まれ、有無も言わせずのスポーツ刈りであった。
1度勇気を出して、当時大人気であった『チェッカーズ』の「フミヤにして下さい!」と注文するも終ってみればいつものスポーツ刈りであった。今なら訴訟ものである。
話は戻るが店長の無駄口の切れ目に僕は「ミヒマル GTってわかります?」と質問、「ああ、お菓子ですよね」とかえされる・・・。
「いや、ミュージシャンの…。」と僕が付け加えると、「ああーそっちの方ですか」と店長…。店長はどんなボールもダイビングキャッチである。ある意味デキると思うし、仕事中のわが身かなとも思え、親近感がわいた。
「雑誌があるか確認して来ます」と控え室に消え、帰ってくると先ほどとは別人のように自信に満ち溢れていた。
いきなり彼呼ばわりで、髪質や髪の色や量など語りだし、軽くアレンジして今回はやってみます、のお言葉に身をゆだね、ようやくカットが開始された。
さすがに口以上に腕がアリ、素早いハサミさばきで、僕の予想以上の仕上がりであった。今回はシャンプーからブローまで全て店長1人であった。
優しく髪を洗いつつ「気持ち悪いところないですか」やカットしてる最中、毎分「気になる所あったら言って下さいね」と連発であったが、気持ち悪いく、気になるのはやはり、店長のおケツであった。
手足は細いのであるが、もしおケツにカップがあるならば、間違いなくGカップはあるであろう。
セットを終え僕はチョイワルモヒカンに変身した。店長のキメゼリフである「カッコ良過ぎですぅ〜」が店内に響きわたり、僕は気分上々↑↑で美容院を後にした。
あまりの出来栄えに、ユウコを迎えに行こうかなと思うくらいであった。が、とりあえずナッティに見せると、大喜びであった。ただ、いつものように帰りを喜んでいるだけかもである。
髪型1つで幸せになれる、本当に良い時代になったものである。モトズラッガーをやってみたいと思いつつ、やはりハゲるのは嫌である。
帰ってナッティもチョイワルモヒカンにアレンジ。ナッティも髪型1つで幸せになれるのであろうか。