すべての脚を失った捨て犬の涙と笑いの11年
『障害犬タローの毎日』(アスペクト)
「この犬はそんな体で生きているのか…」書店で手に取った一冊の本、そのタイトルとカバーの写真は衝撃的でした。尻尾と両耳と4本の脚がない犬の話。未読の本が山積みの私には珍しく、買ったその日に読み終えました。どんだけたいへんな話なんだろうなぁ…と思いながら読みはじめたのですが、重度の障害をおった体でたくましく生きているタローの姿にくすっと笑い(例えばすごいわがまま!)、目頭が熱くなりながらも心があったかくなりました。タローの存在がまわりの皆に元気を与えている。タローとの出会いは飼い主である獣医師の生き方も変えてしまった。昨今のペットブームの問題や子どもたちのいじめの問題、いろいろなことを考えさせてくれます。
お寺に捨てられていたときの話からはじまり、原因不明の難病で尻尾と両耳、そして4本の脚を失う。《安楽死か切断か》切断すれば命は救える。いっしょに暮らす他の犬や猫とのふれあい、極端に短くなった脚で器用に体をもちあげてマーキング…現在に至るまでのタローの生活が、とてもていねいな文章と、ひと見開きごとにはさまるカラー写真でつづられています。元気をもらえた、とてもいい本でした。