おいらはママの物はイタズラしない。
ずーっとそうしてきたのだ。
ママの帽子だって、カミカミした事は一度だって無い
どこに置いてあろうと・・・
でも、今日パパがママの帽子を
おいらは、おもちゃにしていいと思ったのだ
ママの帽子をカミカミビリビリしてもいいんだっ
なのに・・・
おいらも力が入る
だって、パパが・・・
でも、分かっているのだ。
本当は返さなきゃいけない事・・・
「ナル君、ちょうだい。 これはいけないでしょ
ナル君はおりこうさんだから、分かるよね
」
・・・。
「ナル君はちゃ〜んとママの言う事聞けるもんね
お願い、返して・・・ ナル君・・・」
おいらは、金縛りになって動けなかった
分かってる、分かってるけど・・・
ママが手を緩めた瞬間に、
思わず基地に運んでしまった。
どうしよう・・・
ママは怒らなかった・・・
無理に取り上げようともしなかった・・・
これは、おもちゃにしたらいけないのだ。おいら知ってる・・・
何も出来ないままのおいら。
しばらくじっと考えていたのだ
ママァ〜。
「ナル君、えらいっっ。 カミカミしなかったね
ママの言った事わかってくれたんだー
おりこう、ホントにえらかったね〜ありがとう
」
あ・リ・が・と・う??? なんで???
おいら、悪い事したのに・・・
「やっぱりナル君は、ママの言ってる事が分かるのね〜
」
って、ニコニコご機嫌なままお仕事に行った・・・
おいら、我慢したのだ。
いけない事だって分かっていても、ホントはビリビリーって
やりたかったから・・・
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