<br/>
国光は2000年9月、我が家に突然やってきました。
いろいろな家をたらい回しにされ、最後に我が家にやってきたのです。
たらい回しの理由は。。。
とある家に自閉症の女の子がいました。お父さんとお母さんはすでに家庭内別居のような状態。こんな環境では自閉症が良くなるはずもありません。しかしお父さんはやっぱり娘の親だったのです。お父さんはずっと娘が心を開いてくれる方法を考えていました。ある日TVで「自閉症の薬としての動物療法」という番組を目にしたそうです。そしてお父さんは決めました。
「我が家でも犬を飼おう!」
そしてとあるMダックスの子犬に白羽の矢が当たったのです。
さっそく子犬を家に連れて帰りました。しかしお母さんにも娘にも事前にひとことも相談をしてませんでした。お父さんがいきなり連れて帰った子犬にお母さんも娘も怪訝そうな顔をして迎えました。そして子犬を交えた生活が始まりました。お父さんは仕事のため日中家にいません。お母さんは「犬との接し方」を学ぶこともなくいきなり子犬の世話をさせられることになってしまいました。お母さんはどう接して良いのかわからず子犬をサークルに入れっぱなしにしていました。
子犬は寂しくて鳴きます。キュ〜ン、キュ〜ン、キャン、キャン! 親や兄弟から離されていきなりひとりぼっちになってしまった子犬。寂しくて寂しくて子犬の声はドンドン大きくなってきます。子犬の大きな鳴き声のせいで娘は余計に部屋から出なくなってしまいました。そしてお母さんは「娘が部屋から出なくなった原因はこの子犬」「お父さんが勝手に連れてきた!」などイライラが募りそのストレスを子犬にぶつけてしまいます。お父さんが帰ってくれば喧嘩が始まります。子犬はどうして怒られるのか意味がわからず、怯える一方です。そして怖い思いと寂しい思いが入り交じり、また大きな声で鳴いてしまいます。。。もう悪循環です。こんな状態が1週間続き、とうとうお母さんは寝込んでしまいました。そして子犬はとりあえず他のお家に預けられたのです。。。
しかし新しいお家もペット不可のお家でした。寂しくてどうしても声がでてしまいます。そしてまた1週間ほどで次の家に預けられました。そこのお家では仕事が忙しくて子犬の世話ができません。
最後に我が家にやってきました。
怯えた目をして「人間なんて信用出来ない」子犬の目は私たちにそう訴えていました。
それが国光です。最初は何をするのも怯えていました。いつも、何をするのも自信なさげ。まずは国光に自信を持たせることから始めました。ちょっと動くと褒めて、ご飯を食べても褒めて。。。それが功を奏したのか1ヶ月もするとずいぶんシッカリとしてきました。自分の意志もアピールしてきます。彼の個性が出てきたのです。
それから本当の意味での国光との生活が始まったのです。