犬なんかもう飼う気なかった。
3歳の時からずっと一緒だったトイプードルは、私が12歳の時に旅立ち、その後親戚のおねーさんが嫁に行ってしまったが為に、室内犬から外犬(しかもケージにいれっぱなし)となったポメラニアンを譲ってもらい、その犬も老衰で旅立った。
やっぱり悲しかったし寂しくなった。
「もう絶対に犬は飼わない」
それが我が家での掟となっていた。
...が、友達の家のビーグルが子犬を産んだ。
もうすぐ貰われて行くから、その前に見においでv
そう言われたら行くに決まってる!
しかも貰い手が決まってるなら、うっかり引き取る心配もない!
久々の子犬と遊べる機会に、ウキウキして出かけた。
つづく
「4匹産まれたんだよ」
そう言って友達は段ボールの箱を開けてくれた。
中では子犬達がかまって欲しそうに飛び跳ねている。
「...3匹しかない??」
よく見れば、その元気な3匹の下にもう1匹子犬が寝ている.....
それがヴェルとの出会い。
兄妹犬達に踏み台代わりにされつつ、寝続けていた犬。
思わず気になって箱から出してみてしまった。
麻呂眉に泥棒ヒゲ。
寝惚けた顔で愛想の1つもなく、体も他の子達よりひと回り小さい。
「その子さー、まだ貰い手居ないの」
え?全部貰い手決まってるって言ったじゃん?(汗)
そこからは...家族攻勢.........
既にそこの家にはビーグルと柴犬の成犬が居る。
そして今回産まれた子犬にお気に入りが居て、その子は飼うのだという。
一番小さくて、一番ブサイクなのが残っている。
これ以上は飼えないので、必然的に保健所に連れていくしかない。と家族総勢で語られる........
思い返せば、単なる脅しだったのだろう。
しかし犬好きならば、そう言われては引き取らずにいられない。
何しろこの話を聞いている間に、胸に抱いていた子犬は私の革ジャンの中に自主的に潜り込み、中で熟睡してしまっているのだし...
多分、こういうのが運命の出会い?
こんな弱々しくてブサイクな犬は、そりゃあ貰い手もないだろう...
革ジャンの中の温もりは、もうそこから動かないといわんばかりで、そのまま...連れて帰りました(苦笑)
家族はもう吃驚。
兄は「セントバーナードの子か?!」と言いつつ喜び(本当にそんな顔だった...)
母は「もう犬は飼わない!返しておいで!」と怒り、父は「犬なんか飼わない!飼っても外だ!」と言われ続け...一週間後には諦めてました(笑)
ヴェルは大人しくて、子犬のくせに全く遊ばず、食も細くて寝てばかり居ました。
正直、「すぐに死んじゃうかも...」なんて思っていたほど。
密かに家族全員がそう思ってたらしいし(笑)
本を見ながら離乳食を作り、どこへ行くにも連れて歩いてました。
可愛かったな〜....
これが三か月もしたら、威張りん坊くんになるとも知れずにね(笑)