一夜明けて病院に電話すると、みかんは麻酔が醒めてじっとしているとのことでした。心配なので様子を見に行くと、ケージの中でぐったりうずくまっていました。
声をかけて撫でてやっても、虚ろな目で見返すだけ。手術直後に比べて衰弱している印象です。
「胃まで切ったから痛むんですね。内臓の痛みを緩和する薬を与えていますが、なにしろみかんちゃんは小さいので、回復に多少、時間がかかるかもしれません」
先生は、そうおっしゃいます。
顔がハムスターのように腫れています。先生のお話では、一晩、エリザベスカラーを付けていたせいかもしれないとのこと。ただ、今朝から投与を開始した抗生剤によるアレルギー反応の疑いもあるので、注意深く観察して適切に対処してくださるそうです。
今朝の検査で、膵臓の機能は正常だったそうです。血液検査の結果も良好で、このまま傷が癒えれば退院できるでしょうとのお話でした。
ただ、そうなると病因は何だったのか、という疑問が残ります。先生の所見では、やはり胃腸の急激な機能低下・機能停止症状が起きたようだ、とのことです。
「イヌの急性の胃腸機能低下については、じつは原因がまだよくわかっていないんです。自律神経の失調が考えられるんですが、ではみかんちゃんの場合、なぜ自律神経のバランスが崩れたかとなると、すぐに答は出せないんですね」
昨日の血便の分析結果も出て、感染症の疑いは晴れていています。またチワワなどの小さなイヌには、消化器官の奇形がしばしば見られるそうですが、みかんの場合それもなく、至って正常だったようです。
なんだかキツネにつままれた感じですが、先生としては胃を動かす注射をして、消化器が活動を始めればひとまず大丈夫でしょう、との見立てでした。
そんなわけで、目下、みかんは絶食・絶水状態で、点滴注射で栄養補給を受けています。ケージの片隅でうずくまっている姿は見るに忍びません。早く痛みが去ってくれるのを祈るばかりです。