二週間前のこと。
我が家の近くの大きな病院の前をサラと一緒に歩いていたら頭上から「おーい」と声がする。
入院患者さんが大きく手を振っていた。
「毎日ここを通るの?」
「ええだいたい。。。」
「私犬大好きなんよ、そのこかわいいねえ」
「ありがとうございます」
そんな会話を交わしていた。
そして今日のこと、病院前の道路でサラの落し物の処理をしていたら、背後から口笛が聞こえる。
振り向くと病院の入り口で初老の女性がにこにこしながらサラにおいでおいでしていた。
サラに引きずられて近寄ると、私のことは放ってサラに一生懸命話し掛けている。「このあいだ二階から手を振られてた方ですか」
「そうなんよ、私犬が大好きで前は7匹おったんよ」
「今は?」
「今は2匹、私が入院しとるから預けてあるの」
そんな話をしながらサラを撫で続けていた。
きっと寂しいんだろうなあ、愛犬と離れて。
サラも尻尾を振って愛嬌を振りまいていた。微力ながら入院中の寂しさがまぎれるのならなるべく同じ時間に前を通ってあげようと思った。
二階から声をかけて以来ずっと通りかかるのを待っておられたらしい。
毎日通ってはいたけど、今日初めて会えたわけだ。
喜んでもらえて良かった。