犬のしつけにはかなりの根気が要ります。
しつけがどうして犬にとって必要なのか、飼い主がその意味をしっかり認識していないと、犬も飼い主も長続きせず、中途半端ないい加減なしつけで終わってしまうばかりか、どちらにとってもただのストレスしか残さないという可能性もあります。
犬のしつけをする前に、何のためのしつけなのかを、一度考えてみましょう。
しつけには、トイレを決まった場所でさせることや、無駄吠えをさせないことなどの日常的な約束事のほか、「お手」といった本来の意味のしつけには関係のない、ただ覚えてくれたら飼い主が嬉しい、といったものまで含んで考えられています。
本来しつけとは、「犬と人間が一緒楽しく暮らすための方法」を、犬に覚えさせるとともに、飼い主も理解しておくというものです。
犬だけに、いうことをただ聞かせようとか、服従させようと強いるのではなく、飼い主自身も犬がいうことを聞いてくれるような人間になるための努力が必要です。
しつけがもたらす快適な生活とは、人間の側の話だけではなく、あくまでも犬も人間とともに快適に暮らしていく必要があります。
無駄吠えをしない、見知らぬ人に飛び掛らない、知らない犬に吠え掛からないといったものは、犬と飼い主とその周りのさまざまな存在すべてが快適に暮らすためのしつけです。
そのほかにも、拾い食いをしない、散歩中にいきなり駆け出したりしないといった、犬自身の安全のためのしつけがあります。
言い換えれば、犬と飼い主とその周りのすべての存在の安全を守る義務が飼い主にはあり、そのためにしつけがあるということになります。