翌日土曜日。
昨日から引き続き、心の口元からは涎が常に糸を引いていました。
何処か苦しいのは間違いありません。
朝、それでもお散歩の催促をするので外に出ましたが、元気に走り回る間も絶えず涎が。
そしていつもの半分位の所に来ると立ち止まり、もう歩きたくないと座り込んでしまいました。
「・・・もう、帰ろう。帰って寝んねしようね、心」
抱っこしてお家まで戻りました。
朝の排便は無しでした。
お昼ごろ。
遊んでくれと訴えてくる元気もあり、朝に便が無かったことから少しだけお散歩に行こうと思いました。
心は家の中では排便はしないのです。
外に出て、一本目の角を曲がり、程なくした所で心がクルクルと回り始めました。
排便の合図です!
祈るような、ではなく、これは明らかに祈りでした。
糸が出てきて欲しい・・・!
でも、出てきたのは細くて茶色の、少量の便でした。
激しい落胆の中、お散歩バッグからトイレットペーパーを取り出し、それを摘み上げました。
「ボロ・・・ッ」
それは本来では有り得ない形にホロホロと崩れたのです。
そう、それは幾重にも折りたたんだ細いものが、解けるように。
「・・・糸だ!」
摘んだ物を地面に戻し、ティッシュ越しに解いていきます。
・・・一体、何メートル分なのでしょう。
兎に角、驚く程の長さの糸が、クチャクチャに折り畳まれて一塊になっていました。
私は道路の片隅で、大声で叫びたい気持ちでした。
「出たーーーーー!」と。
ビニール袋に「証拠品」を入れると、心を抱っこして大急ぎで家に戻りました。
良かった、これで手術しなくていいんだ。
玄関のドアを閉めて、鍵を掛けたら一気に涙が出ました。
声を上げて、良かった、良かった、と。
涎が気になるし、先生に報告を兼ねて、月曜日の午後病院に行こう。
やっとこれで今夜から眠れると思いました。
安心した私は、どっときた疲れに、土曜日曜と寝込んでしまった訳です。(続