ジャックには血統書がない、捨て犬だから。だからもしかしたらラブラドールじゃないのかも知れない、そんなことを考えたことがあります。でもジャックがラブじゃなくても誰も何も気にしません。ジャックはジャックだから、私たちがジャックを証明できる家族だからです。それに血統書よりも重要なのは鑑札です。家からあまり出ない小型犬はともかく、大型犬にはとても必要なものだと私は思います。血統書だってもちろん大事なものなのですが、それは繁殖に携わる名犬とブリーダーのものであって、一般的にペットとして飼われる犬にとってはそれほど重要なものではないと思います。第一、血統書はとてもわかりずらい表記で書かれているのでしっかりと把握できている人は少ないと私は思います。しかし、昨今のペットブームの中、犬の親戚を探し出すサイトが流行っていると聞きました。犬の血統書から親戚犬を探し出すと言うシステムらしいのですが、絶対にやってはいけないと思います。何故なら同じくインターネット上で血統書のみを売買することがあるからです、売られる犬に関しては血統書はとても意味のある代物です、犬の価値は血統、品種、スタンダードにより近い方が高い値段がつくからです。生まれてくる純血種の犬はもちろんJKC、日本犬保存会などどこの団体でもまずは血統書を申請しないと、買い手側の要望により値段がつかない犬となってしまいます。しかし血統書の発行と言うのはとてもいい加減で、実際は２匹しか生まれていないのに５匹生まれたと言えば５枚の血統書が発行されます。ブリーダーはあまった３枚の血統書を生まれた日にちが近い別の犬につけて販売します。これが繰り返され、今となっては手元にある血統書と自分の犬が全く関係のない、血統書としての意味を持たない単なるお飾りとなってしまっています。そして利殖目的で無理な繁殖を繰り返してきた悪意のあるブリーダーの作出した犬はその犬種本来の姿、性質や気質を無くし先天的疾患などを孕んで生まれてきます。本当にチワワなの？本当に純血種なの？と言う犬が世の中に溢れてきています。インターネット上で公開される犬の血統、売買される血統書もこういった犬を生み出す手助けとなっているのです。私はMIX犬、スタンダードから外れた犬、凶暴な性格の犬、等を批判しているわけではありません、ただ、純血種と言うのは何百年にも渡り、様々な人たちの手で作出され、固定化されたとても貴重な文化であり、財産なのです。それを犬もわかっているのではないかと私は思います。犬のもともと持っている品格や性質がそれを物語っているからです。その文化を壊す権利など誰にもありません、守っていく、より良い方向へ進めていくお手伝いをすることこそが、いまの私たち愛犬家に課せられた課題なのではないでしょうか。血統書と言うものの価値を再認識して自分の飼う犬だけではなく、その犬種全体の素晴らしさに一度目を向けてみてはいかがでしょうか。