先日の記事で去勢や避妊について書いたところ、繁殖に関しての意見が多かったので、ブリーディングのことを書きたいと思います。
犬・猫に限らず、自分と生活をともにしているペットの子孫を残してみたいと思うことは誰でも1回はあるはずです。特に純血種の犬は、尚の事です。
しかし私はただ同犬種を交配するのではなく、良質な犬種を作出するように血統・スタンダードを良く理解して繁殖をしていかなければいけないと思います。 あいまいな気持ちで繁殖をすべきでないと思うからです。
☆繁殖方法には3種類あります☆
インブリード・近親交配(血縁関係の近い交配、1代以上離れていない同士の交配)
ラインブリード・系統交配(血縁関係が2代以上離れている同士の交配)
アウトブリード、アウトクロス・異系交配または品種交配(全く系統の違う同士の交配。5〜6代さかのぼっても共通の祖先犬がうない同士の繁殖)
☆種オスと台メス(繁殖に使うオス犬とメス犬)☆
種オスの条件
・系統繁殖で血統が固定されている事。
・骨格構成・健康・性格に問題がないこと。
・交配意欲があること。
・過去の交配実績があること。
基本的に交配をするにあたり、種オスを選ぶのは台メス側にあるのでタイトル取得犬が好まれますが、タイトルだけにこだわらずに台メスにあった種オスを選ぶべきだと思います。
台メスの条件
・固定された血統であること。
・骨格構成・健康に問題がないこと。
・性格がシャイでないこと。
・多産系が望ましい。
犬は基本的に母系遺伝が強いので、優れた子犬の作出にはまず優れた台メスを選ぶことである。また難産系の台メスも優れた台メスとは言えませんし、ショードッグは体が小さいので台メスには向いていません。
と言う具合に、種オス・台メスだけでも、これだけの条件があります。この条件は、疾患・障害・問題ある性質の子を作らないように定められたものです。プロブリーダーは何十年もかけ、何百匹の犬を見続け、たった一匹の良質な犬を作出するために奮闘しています。 それに比べると愛犬家、ペット愛好家の方は自分の犬しか見たことがなかったり、どう言った犬種で、理想はどうなのか、スタンダードはどう言う風に定められているのかと言うことをきちんと把握できている方は少ないと思います。 遺伝子学の勉強もしなくてはいけませんし、犬学についても知っておく必要があります。 犬はショータイプ・ペットタイプと2種類に別れていますが、自分の犬がペットタイプなら、ペットとして可愛がってあげるだけでいいんではないでしょうか? 厳しい意見ですが、愛犬家に繁殖は到底無理だと思います。 繁殖に関してはプロに任せ、私たちは良質な犬を見極め、購入し、可愛がる。と言うことで充分だと思います。 もし、繁殖を考えている方がいましたら一度ドッグショーをご覧になってみてください。 スタンダードにのっとった健康で優秀なわんちゃん達に驚くと思います。 うちの子が一番!と思う気持ちはとても大切だと思いますが、 ブリーダーは生涯の仕事として繁殖をしています、素人の片手間では決してできないと思うんです。 コメントの方に、色素の薄い台メスに色素の強い種オスをかけるのは?と言う質問がありましたが、種オス、台メスの条件にのっとっていないので、ミスカラーのある子、色素の薄い子が繁殖に使われると何代先で疾患・生涯を持った子が生まれる原因に繋がるかわかりません。 それにパジーの父犬はカナダチャンピオンです、父系統にもチャンピオン犬が何匹もいますし、ショードッグとして活躍しているチワワばかりだと見受けられます。 しかし母犬はペットタイプです、母系統にショードッグはいません。 その結果、パジーはオーバーショットで気管に疾患をもっています。お顔もチワワらしくなく、オーバーサイズで4キロになります。 父犬から遺伝したのは、毛ぶきの良さと性格の良さだけですね、ミスカラーも出ているし。 いくらどちらかが優秀な犬でももう一方があまり良い犬でないと、こう言った子供が生まれてしまいます。
もちろんパジーは私の大事な家族ですし、誰もパジーが悪い犬だなんて思っていません、ただ、繁殖に使う気はまったくありませんし、使ってはいけないと思います。 可愛いと美しいが違うように、繁殖に用いれるか、用いれないかも別の問題です。 私たちはペット産業の中であくまで消費者です。 安易な気持ちで繁殖に携わる事は、犬にとっても迷惑な話だと思います。 犬質向上のためにブリードを行う、プロの繁殖者から、健康で性格もよく、顔も可愛くて長生きする、最高のわんちゃんを 一生大切に家族同様に愛することができるだけで、幸せなことだと私は思います。 ひとりひとりの繁殖に対する理解と協力があってこそ、世の中の放棄犬や悪徳ブリーダーなどがなくなることに繋がると思います。