第六話「病院で起こった世にも素敵な物語」
〜シンデレラになった猫の手記〜前編
※今回はこの話の主人公である猫の「ボク」の手記として
書かせていただきます。
僕の名前はひねりのない名前だけど「ボク」。
いつもゴハンをくれる動物病院の看護婦が付けました。
ネーミングセンスがないよね・・・。
毛色は白黒のごく普通の猫なんだ。
僕はある日突然飼い主に捨てられた・・・。
生まれた時からずっと一緒だった5匹の兄弟たちと
動物病院に置き去りにされたのだ。
まだ小さかったから「捨てられた」なんてわからなかった
けど兄弟もいるし、ゴハンも2回もらえるからこの病院を
僕の新しい家にすることにしたんだ。
長い間、病院に住んでいるうちに兄弟たちは「里親さん」
という人達にもらわれていった。僕らみたいな大きく
なった猫はなかなか新しいお家が見つからないらしい。
でも僕はここ(病院)が好きだったし、初めて見る人が
怖くて「フーッ!」って脅かしちゃった。
そんなこんなで気が付くと毛色が同じのお姉ちゃんと
僕の2匹しか残っていなかった。
(お姉ちゃんも人見知りが激しい猫だった・・・。)
そのうち可愛げのない態度に愛想を尽かされたのか
「里親さん」たちはパッタリと来なくなった。
でもここには遊んでくれる獣医さんやゴハンをくれる
看護婦がいて寂しくないし、案外居心地も良かった。
今となっては、どこにも行きたくなかった。
ある日、泣きそうな顔でいつもの看護婦が来て
「もらい手がなかったら私の家に行って、暮らそう!」
と言ってきた・・・。
その時、病院にはずっといられないのかなと思ったけど
あの看護婦は僕のこと好きみたいだから一緒に住んでも
いいかな〜と考えていた。
それから数日後のことだった。
あの看護婦が「迎えに来るからね」といって病院を
辞めていった。もう病院では会えないらしい・・・。
あの日の涙はお別れの涙だったんだ。
お別れは続いた。
ずっと一緒だったお姉ちゃんもついにもらわれて行った。
僕はあの看護婦が迎えに来るのを一匹になったゲージで
ずっと待った・・・。
今回の「シンデレラになった猫の手記」ここまでです。
一人ぼっちになった「ボク」はどうなるのでしょうか?
次回「シンデレラになった猫の手記 Part2」
〜ぼくは王子様だ!〜
でわでわ。