ピーちゃんが主人公だから、もう少し紹介しておこう。子どものペットにと思い飼いはじめて、もう四、五年になる。同じ飼うなら卵を産むメスに限る、と日曜市でひなを一羽買ってきた。数千円の経費を投じた割には見栄えのしない鶏小屋も作り、犬小屋の近くに据え付けた。
以来、家族一同、愛情を注いできた。エサやり場は、専ら犬小屋の前である。鶏用のペットフードのほか、何でも与えてきたが、特に、牛乳と鶏肉を好むようだ。牛乳の入った器の中に犬とともに頭を突っ込み、我先にと飲む。また、フライドチキンを与えると、それを犬と取り合いしながら食べる。どちらかと言えば、ピーちゃんに分がある。犬が口にくわえているチキンでさえ、飛び上がってくちばしで奪い取ることも日常茶飯事だ。このピーちゃんは、ひなの当時から犬と遊ばせていることもあってか、自分のことを犬だと思っている節がある。近所までではあるが、タローの散歩にもついてくる。そして、道端の草むらで雑草をはじめ、雑多のものをついばむのを至上の喜びとする。これらの日常生活は近所の評判となり、マスコミの取材も数回に及んだ。