今日は一日中雨だった。まるで梅雨の突入を予感させるような天気である。ゴウ君やうーさんのような元気な子たちにはかなりやりきれない季節だろうと思う。グリアは限りなく室内犬だけど、万が一にも雨に濡れたりするとその
身体的特徴のため大変なことになっちゃうのでグリアにも大雨の恐ろしさを叩き込んでおくことにした。
あれは僕がオーストラリアにいたときのことである。僕は山の中の自然と共に生きるという自然農法コミュニティーに滞在していた。僕は別にへんな自然主義に染まっている訳じゃないけど実家のある田舎が局地的自然主義だったので(うちは農家じゃないけど無農薬野菜が近所から供給される。そういう種類の田舎なのである。とても自然そのままの野菜をいただくことが出来たが種類が季節ごとでかなり偏っているのが難点)まあ、ただで泊めてくれるというし、しばらく旅の途中に休もうと思ったのである。その集落に滞在していたある日のこと、すごい嵐が来たのである。必要以上に自然を強調するものだからコンクリの水路とかもなくて川が氾濫して畑が大変だという。集落の男たちが土嚢を積んで氾濫を防ぐためにどんどん雨の中に出て行く。僕も
ただで泊めてもらっている手前、やっぱり行かざるを得ない。しかも若いものだから川の最前線で土嚢を積む係になったのだ。僕は川の中に立ち、後ろからバケツリレーで運ばれてくる土嚢を積んでいく。そしてどれくらいの時間が経っただろう。結構疲れてふらふらだったけど、途中で止める訳にもいかず振り返って土嚢を受け取ろうとしたら、あれ、いない?
うわぁぁぁ、流されたー、と誰かが叫ぶ。濁流の中にさっきまで後ろにいたおっちゃんが流されていく…。そのときの僕のショックと言ったら街中で「ちょっとこの袋持ってて」と妻に言ったつもりが相手がまったくの他人だったときの約10倍だった。おっちゃんはちゃんとロープを持っていたので遠くまで流されずに助かったけど、流されることを前提とした作業だったのか、あとで「
また流されちゃったよ」とか言っていた…。
分かったかい、グリア? 大雨とか洪水は怖いんだよ。あと行き過ぎた自然主義者にも気をつけるようにね。