ペットというものは元来昼寝が好きなものだとは思うけど、グリアは現在昼寝をさせたら右にでるものはいない。犬なのに猫のごとくベランダの手摺で昼寝したりする。ただし自分でバランスを取るのが得意ではないので
風の強い日は気をつける必要がある。
さて現実的問題に立ち向かいながらぬいぐるみ犬を飼う僕たちだが、それはやはり僕たちがペットが好きだからである。妻の実家には直次郎という白く巨大な猫がいる。彼は人生において様々な奇異な運命を辿ってきた類稀なる猫である。うちの実家ではもう死んでしまったがクロという黒猫を飼っていた。安直なネーミングである。その人生において奇異なことはあまりなく、ネーミングと同じく安直な人生ではあったと思うが、魔女の宅急便に出てくるあの黒猫とそっくりであった(狙ったように赤の首輪をしていた)ため親類縁者やご近所にそれなりの人気があった。
じゃあ、なんで猫じゃないのか、と皆さんは思われるかもしれない。たしかに犬は飼っていなかったが、僕の隣の実家にはかつて賢犬ポチというのが住んでいたのである。ポチの特徴としては
1)わびさびを解する2)散歩のとき人間の前を歩かない3)焦ったり、走ったりしない4)気配を消し必要時しか吠えない5)ボールを取ってこいと命令すると「付き合いきれん」というふうに小屋に帰る。という自分の存在を理解していない犬であったが、なかなか魅力的な友達ではあった。気配を消すことができるのだから、
よくうちに入りこんで椅子の上で、それがあたりまえのように昼寝をしていた。人間だったら捕まるところである。ともあれまあ、そういう風にして僕は犬を好きになったのである。