僕の代わりに謝らされたのが気に入らなかったのか、ガムみたいな団子を食べさせられるのが嫌だったのか、あるいは立派な高知県産のべい茄子が切り刻まれチンゲンサイとひき肉とともに炒められるのが忍びなかったのか、
グリアがべい茄子を背負って逃亡を図りました。かなり無理してわざわざ靴まで履いたので、なんらかの決心があったのかとも思うのだけど、ガンダムに出てくる「ガンタンク」のような状態ではまともに進める訳もなく、あっけなく捕まりました。僕が風呂から上がってくると、べい茄子は妻により見事なチンゲンサイとひき肉と一緒に中華風の炒め物に変貌し、グリアはなにか哀しそうにそれを眺めていました。べい茄子との時間はグリアにとってほろ苦い青春の一ページだったのかもしれません。僕にとっては割と淡白で苦みはないさっぱりとした味わいの、
普通の茄子でした。