犬嫌いだった僕がナッティと出会い、犬はスゴい表現力を持つ事を教えられた。表情やしぐさ、泣き声の使い分けなどで感情や気持ちを表現するのである。
犬全体がそうとは言い切れないが、ナッティはリアクションがデカい。デカい犬におびえる怖さや、お出迎えの喜びの犬★バウアーは、村主章枝もかすむほどの表現力である。
しかし、犬は喜びを表現しているのではなく、ただ喜んでいるだけなのである。人間は犬のしぐさや表情をみて癒されたりほくそ笑んだりするが、犬側は純粋に思うがまま体を動かし、声を出しているだけである。
体を使って感情を表現するのがど下手な国民の僕らであるが、うれしい時は飛び跳ねたり、駆けだしたり、叫んだりするものである。そう、犬と同じなのである。
犬は表現力がすごいのではなく、ただ純粋なのである。嬉しい時には喜び、腹が立ったら怒る、ただそれだけなのである。
しかし人間界は甘くなく、感情の思うがままに生きる行為は人間社会に適合せず、人前ではなかなか自分の感情をあらわに出来ず、心の中で人☆リアクションをとり続けなくてはならない。
僕はマイケルのようにうまく表現できないが、人間にとって犬★リアクションは、子供の頃の純粋さ、子供の純粋さに匹敵するような気がする。
思えば子供の頃、テストで100点をとって先生に呼ばれ取りに行く時、小走りであった。アイスクリーム買い食いして当たりが出た時、駄菓子屋に向かい猛ダッシュで駆けだしたものである。
先日、コンビニでマルカワのガムを買ったところ当たった。一瞬喜びはしたものの、当たりの箱を結局は猛ダッシュでかえに行く事無く破棄した。見た目はもちろんであるが、少年の心は僕にはもうないんだな、と少しせつなかった。
普段クソつまらんお仕事の中で感情をあらわにできず、きっと汚れた大人になった僕の心を、ナッティは癒してくれるんだな。
この滑稽なしぐさだって、ただ寝ているだけである。まあ僕の寝相の方が面白いけど…。