近頃関西では雨が続いている。ナッティに出会う前なら特に気にしていなかったが、今では平日の限られた時間の中でお散歩のタイミングを窺い、お空を見上げるこの頃である。
絶望の時や悲しい事以外で天を何度も仰ぐのはきっと、子供の頃運動会や遠足などのイベントの当日以来であろう。
ナッティはお散歩はもちろん大好きであるが、雨が大キライである。たとえ雨が上がろうとも少しでも地面が濡れていると、動かざる事山の如しである。
雨が降っているのを窓越しに見せるとお散歩はあきらめるし、水たまりなどは全てジャンプでよけるし、肉球に水素と酸素をふくむ事が気持ちわるいのであろうか。
しかし先日の夕方、一日雨が降ってお散歩に行けなかった次の日の雨上がり、地面は濡れてるもナッティはお散歩に行きたい様子であった。
空は曇っていてまたいつ降るかもだが、ユウコとナッティを連れお散歩に出かけた。濡れた地面を気にせず歩き、時折雨がチラつこうとも動じず、地面をクンクンねり歩いた。
ナッティはご機嫌であったがお空の雲行きがあやしくなり、やがて雨がポロリ、ポロリ。ユウコは自転車で先にゴッティンガムへ帰り、ナッティと僕は走って帰る事に。
僕は腰を痛めて以来、半年近く走っていなかった。たかが2キロ弱であったが、どしゃぶりの雨の中をかるく走り出した。
するとナッティも以前なら雨に濡れた時点で抱っこを要求したりであったが、半年ぶりに走り出した僕につられて走り出した。
半年振りに走る僕を気づかってのことだろうか。そして途中1度も止まる事無く完走した。
ただ走るだけであったが、胸にくるものがあった。雨の中を時折、僕をチラ見ながら走るナッティにも感極まった。孫が立っただの歩いただので一喜一憂するおじいのように、ただ雨の中を歩いたり走ったりする愛犬の姿に胸をうたれた。
帰ってずぶ濡れのナッティを、ユウコがお風呂で洗った。
ナッティも半年振りの僕とのジョギングに満足そうであった。しかしその日以来ナッティは、雨に関係なくお散歩に連れて行けと欲求するようになった。梅雨が恐ろしい気もするが、犬★レインコートでも買おうと思ふ犬バカボンであった。