僕は普段ナッティに対し、おすわり!や待て!などドSの女王の如く一方的に指令を出す側の人間であるが、会社や上司の指令に対し一方的に従う側の人間である。
僕が入る直前には9人いたバイト君であったが、8人のクビが飛び明日はわが身のこの頃である。
今回いきなり別の課のお仕事で、某百貨店行きを命じられた。そしてわが社の製品を届けるだけと聞いていたが、販売の主任さんに売場行きを命じられる。
もちろん明日無き戦いを続ける僕はためらう事すら出来ず、社員証と入店証をぶら下げしゃなりしゃなりといざ売場へ。友人のベッカムと違い完全な偽社員ではないが、やや後ろめたくご入場!
お昼時と言う事もあってかお惣菜コーナーを中心に大賑わいであった。しかし不景気だと言うのに、物産展など高級なお惣菜を買い求める客が絶えない中を売場を探してさすらい歩いた。
ようやく売場を発見し、別の課のお仕事の為、全く見知らぬ商品を陳列しているとどこからともなくおばちゃんが寄ってきて、知り合いの如く人☆コミュニケーション、さすが関西のおばちゃんである。
僕の頭の中をおばちゃんロックが鳴り響き、そしておばちゃんにロックされた。
おばちゃんの商品に関する質問の嵐に対し、食したことどころか初めて見る商品の為、パッケージや箱に書かれた言葉や写真からイメージを膨らませ、もんた みのの如く健康に結びつけ進めた。
30分程度であったがものすごく楽しく、そして疲れた。劇団で言うと照明さんのような地味な仕事をしている僕にとって、初めての表舞台であった。
販売主任もご機嫌であり、また次もよろしくと言われ、次回は白いジャケットのご用意をと後にした。
そして週末の夜、ユウコはOLグルメ旅に江戸堀にイタリアンでランチ&船場にタイ料理のディナーを喰らいに、僕は会社のエライさんから始めてのお付き合いによばれた。
初めてにして会社で1番エライ人の次にエライ人の飲み会であり、いきなりの大舞台であった。もちろんご機嫌を損ねれば、百貨店どころか遠くの支店行きを命じられる恐れありの飲み会であった。
参加者が緊張につつまれ、お話がお上品に流れる中、勇気を出しておばちゃんに学んだ馴れ馴れしさで挑んだ。
そして2次会が始まる頃には、トルシエとダバディのように親密になっていた。次回もよばれご機嫌で深夜の凱旋の僕を、ナッティは眠たそうにお出迎えであった。
初めて続きの後だけにナッティのお散歩デビューを少し思い出した。家の近所わずか50mぐらいでしゃがみ込み、動かなくなりユウコに抱っこされ帰った。
今では当たり前のようにお散歩に出かけるが、当時は僕同様にもの凄く勇気がいったのであろう。
犬のフリ見てわがフリを思ふこの頃である。ナッティとの生活が僕の発想を大きく広げ、サバイバルから生き残る術となっているのであろう。犬は身を助けるである。
もしかするとあなたの街の百貨店に行くかもである。もしデパ地下でモヒカンを見かけたら桜活動にご協力を。