ナッティとお散歩していると様々な発見や出来事に出会う。僕からすると当たり前のいつもの道中でも、ナッティからすれば裸足で歩く地面は変化や危険がいっぱいであり、見上げた空はどんなに高く映るであろう。
そう、毎日が新たな冒険なのである。昨日と同じ道中でもナッティからすると毎日違う顔を持ち、時にはいばらであり、時には事件にでくわすこともしばしばである。
ナッティといつものように年度末公園でお散歩し、帰りを惜しみしゃがみ込むナッティをうながしながらの凱旋の道中、人込が…。
事情を聞かずともおばちゃんに語られる。どうやら線路の下を流れるドブ川のほとりに子猫がいるらしい。
落ちたのか、好き好んでそこにいるかはわからないが、近くの料理学校の生徒達が懸命に救出活動を行っていた。食べる事が何よりで学校に通っているのかみんな肥満に値するおデブちゃんばかりであった。
子供達はおデブ隊員たちに声援をおくり、おばちゃん達は指示をおくり、現場一帯が一丸となっていた。
そんな中、空気を読まない全裸ビーグルがひっくり返り背中をこすりつけクネクネである。もちろん勇敢に救出に立ち向かうおデブ隊員への応援の舞ではなく、年度末公園へのアンコールの訴えである。
子供達は純粋であった。泣きそうな声で声援をおくり祈っていたが、イジけひっくり返るナッティに心を奪われ、子猫の事はどこへやらでナッティとふれあい始めた。
緊迫した現場をよそに子供達の笑い声、現場を見守っていた高校生達も集まりだし、さすがにマズいと立ち去ろうとした時、おばちゃんから「にいちゃん身軽そうやん、ちょっと助けたって」とお声がかかる。
確かにジャージにスニーカー軽装であり、おデブな隊員よりか戦力かもだが、僕は自称猫アレルギーだし、ドブにはまったりするかもだし、せっかく助けようと手を伸ばしたら案外ジャンプして脱出したりするかも、と考えた。
猫飼いには悪いが、助けた猫を誰かが飼うと言った補償はない。なんと言っても近所の猫には、ゴミを荒らされたり深夜の鳴き声など深刻な被害を被ってる。
差し伸べられたヒーローのチャンスをおデブ達にゆだね、「すいません、猫アレルギーなんで」と期待を裏切る一言を残し、現場を後にした。結局大胆な冷やかしのヤジ馬で終っていった。
ナッティも泳げるが、汚いドブ川に大嫌いなティンクルズのDNAを助ける気はサラサラであった。正義感のない犬と飼い主であった。
ところで先日の仔犬情報であるが、引き取りたい人が次々現れ、預かっている若者達が、接触している模様、もしかしたら若者達自身が犬を飼える環境に引っ越して2匹を育てるかもである。
いきなり2匹は大変かもであるが、彼らの責任感と正義感そして犬への愛があればきっと、それが仔犬にとって1番良い事かな、と思う。