東京帰りの次の日、府内某所で弊社の一番えらいさんとの懇親会、経営トップ対未来のリーダーとの意見交換がテーマであるが、唯一平社員で参加した僕にとっては罰ゲームである。
普段本社で雲の中の存在であるお方が、最前線の声に耳を傾けるなんて、暇を持て余した神々のお遊びである。
しかし、僕にとっては風向き一つで人生を変えられる、実際取引先の社っ長さんよりご機嫌が気になる存在である。
酒を飲みながらワイワイガヤガヤなんて事はなく、僕一人銃口を突き付け、ロシアンルーレットのような緊張感、お約束の無礼講のお言葉も、真に受けたら明日は無くなる見え見えの地雷である。
仕事の話をされたら全て即答出来るよう、石橋を叩いて挑むも全く仕事の話はなく、実際僕がどこの部隊で何やってるかなんて、ご存じなく、大半が受け売りクサい経営の話と自慢話であった。
時折飛び出すオヤジギャグは笑う事がこんなに大変な事なんだ、と思い知らされる爆弾であった。銀座や新地のお嬢様方や取り巻きが先方のセンスをブレさせるのであろう。
結局一人で勝手にしゃべり続け、唯一趣味を聞かれたが、犬は臭いし何考えてるかわからん!でぶったぎられた。意見交換の場、ではなく、哲子の部屋的な流れのまま終わり、新幹線で東京へとお帰りに。。。
何だかんだ言っても、普段かかわることのない貴族との交流に、1つだけ思った。何だかんだ言っても、裸の王様なのである。
つまらん事を言っても笑ってくれる、大したことない話でも絶賛してくれる、誰も王様にツッコミを入れることなく、リアクションを取ってくれる。少し寂しい存在なのかな、そう思った。
まあ僕は雲の中なんて行くことは無いだろうが、気付けば全裸って事にならないように、周囲と自分に目を光らせるとしよう。